UnionBeat
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08労働組合を取り巻く現状 組織率は低下し、大幅な賃上げが難しくなっている今、労働組合を取り巻く現状はとても厳しいことは言うまでもありません。活動の柱に「賃上げ」「時短」を掲げていればよかった時代はもう過ぎ去り、春闘のありかたも様変わりしています。しかしそんな中でこそ、労働組合が果たすべき役割、責任も大きくなっているのではないでしょうか。 経営側から出されたリストラを含む経営改革等の厳しい要求に対応する力(対応力)、ステークホルダーとしてコーポレートガバナンスの一翼を担う立場から経営に向けて提案する力(提案力)、職場の悩みやメンタルに関する組合員からの相談を受け止める力(受容力)、そしてどんな状況においても物事を客観的に見極める力(判断力)が、労働組合、そして執行委員には必要になっています。そしてこうした必要な力を身に着けること、そして伸ばしていくためには、「人材育成」が大きな鍵になります。 「人材育成」には、しっかりとしたビジョンを持つことが何よりも大切です。方向性を定めずにその場しのぎの教育を行うことは時間も費用も浪費する事になりかねません。そうならないためには、執行委員に対する「人材育成」を計画的に行っていくための基本方針を固め、進めていくことが大切です。キーワードは「執行委員力」 労働組合執行委員として必要な知識やスキルを身につけて、その役割を全うするだけでなく、一人の社会人としても大きくステップアップできる「力」を身につける事。その力を「執行委員力」と呼ぶことにします。 労働組合執行委員として必要な「執行委員力」とは何なのか。まずはここを明確にして、それを研修などの教育プログラムに落とし込んでいく必要があります。 「執行委員力」を形作る中身には様々な要素があります。先ほど挙げた「対応力」「提案力」「受容力」「判断力」もそうですが、それだけではありません。リーダーに必要とされる3 つのスキル①テクニカル・スキル(実務能力=専門知識、技術)、②ヒューマンスキル(対人関係能力)、③コンセプチュアル・スキル(総合的判断力)などは、どの組織でも必要なものですが、その重要度はそれぞれの組織によって違います。こういったスキルの中から(あるいはそれ以外のものも含めて)、執行委員に必要な「執行委員力」抽出し、新たに体系付けることで、計画的な人材育成を行っていくことが大切です。 執行委員力は人間力 「執行委員力」を“樽” を形作る“樽板” と仮定したとき、執行委員に必要な力「執行委員力」が少ない部分が多いと、十分な力が発揮できません。一つ一つの「執行委員力」を伸ばしていくことで、“樽” が完成に近づき、そこに注がれる“モチベーション” という名のお酒の量も増えていきます。それが結果として大きな力を発揮することにつながるのです。 そんな中で忘れてはならないことは、「モラル」と「思い」の大切さです。何事においても「モラル」(時にはルール)を守ることは基本であり、そのタガを外してしまうと“樽” は完成しませんし、人としての在り方そのものに問題が生じることにも繋がります。 また、「思い」こそ「人間力の源泉」であり、“樽” を支える“樽底”になるのです。知識や技術だけを身につけたのでは自分自身も組織も変えていくことは出来ません。その根底に「こうありたい」という思い、意識が必要です。よく言われる言葉ですが「SKILL」よりも「WILL」が大切です。「どうありたいか」を常に考えながら「執行委員力」を高めていきましょう。 執行委員として魅力は、人間としての魅力にも繋がっています。執行委員として身につけた力は、家庭に、地域に、そして職場に、それは間違いなく「人間力」として活かされるのです。(遠藤紀彦)「執行委員力は人間力」労働組合を元気に!モラル(ベルト)執行委員力(樽板)※執行委員に必要な力「執行委員力」が少ない部分が多いと、十分な力が発揮できない。UNUIN BEAT 第0号(創刊準備号)発行:株式会社エイデル研究所2013年6月1日※栄養素などの説明に用いられる「ドベネックの桶」を参考に作成思い(樽底)※人間力の根底はWILLモチベーション(ワイン)参考 執行委員力樽モデルコラム

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