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長谷光城 Mistushiro Nagatani


長谷 光城 (著)
本体価格:5714円
発刊年月:2009/05
ISBN:9784871684569
Cコード:3031
管理番号:396

■目次

評論
「若狭の人・長谷光城」梅原 猛
「斎藤義重と長谷光城の間」針生一郎
「長谷光城の軌跡」土岡秀一
「長谷光城の作品」野田訓生

作品写真「紙、木、石、布、鉄・鉛、平面」

資料
「長谷光城作品展によせて」土岡秀太郎
「長谷君のこと」土岡秀太郎
「木トロープト彼」斎藤義重
「長谷光城展をみて」河口龍夫
「形の脱け殻としての形が複合空間を」中村英樹
「日本的窮屈さを脱して」田中幸人
「五体総量の意志の中に(長谷光城の親和力)」田中幸人
主要参考文献・略歴

■作品集『長谷光城 Mitsushiro Nagatani』について

1965年から2008年にわたって制作された長谷光城の造形作品、約1000点から248点の作品写真を収録している。作品写真は紙、木、石、布、鉄・鉛、平面と6つに分けて年代順に編集、一地方にあって美術の現代的課題と真摯に向き合い作品制作に取り組んできた長谷の歩みを明らかにしている。加えて、梅原猛、針生一郎、土岡秀一、野田訓生各氏の文章が長谷作品の理解をより深めさせてくれる。

長谷は1966年に多摩美術大学絵画科(油画専攻・斉藤義重教室)を卒業、1967年から福井県若狭に住み、教職に就きながら作品制作を続けてきた。斉藤義重に師事して前衛精神を身につけた長谷は、福井を主に活動していた土岡秀太郎が主宰する北美文化協会の美術文化運動に参加、第5回北美大賞を受賞。若狭でも現代美術に取り組む「若美作家集団」(グループ若美)を結成し、現代美術にかかわる活動を果敢に展開してきた。長谷の作品は若狭の地にある紙、木、石、布などの素材を手にして、そのものの日常的な在りようを見つめ、そのものとの語らいの中から産み出されてきたものである。

1983年には若狭和紙の原料を用いた立体作品『内部連結Ⅱ』が第16回現代日本美術展で大賞を受賞している。長谷の作品世界を田中幸人氏は「長谷光城の喚起する世界は、原形質的で、等身大でありながら、モノの正体を、それが封じられている深さよりも遥かに広く解放する。この人が抱いている内発的自然観の壮大さであろうか。」と述べている。

長谷は美術作家活動と共に教育者として教育改革に取り組み、県立高校長、県教育審議監などを務めた。また、子どもの造形や絵の研究にも取り組み成果を上げている。このように多彩な才能を発揮して縦横無尽に活躍する長谷の全体像を示した見応えのある作品集となっている。